
台湾パインとティムールペッパーのバターサンド
とんでもなく美味しい台湾パインにティムールペッパーのサブレとココナッツリキュールのバタークリームを合わせた夏のバターサンド。
〈開発者の詳しい解説〉
ティムールペッパーは、ネパール産の山椒の一種。
でも、いわゆる“スパイシー”というより、香りが柑橘なんですよ。
主に含まれているのはリモネン、シトラール、ゲラニオール、シネオールあたりで、グレープフルーツやレモングラスのようなトップノートに立ち上がる柑橘香が特徴。
しかもこの香りは、サンショオールの微弱なしびれ感とセットになってて、甘さを引き立てるというより、「香りの余白」をつくってくれる。
香りを強くするんじゃなくて、香りが通り抜ける道筋をつくる感じ。
で、そこに合わせたのが台湾パインのジャム。
パインは果実香が強い果物だけど、その主成分はエチルブチレート、メチルヘプテノン、リナロール、γ-デカラクトンあたり。
なかでもエチルブチレートは“いかにもパイナップル”な甘酸っぱい香りを担当していて、これがティムールのシトラールとモノテルペン系の香りと同系統なんです。
つまり「違う香りだけど、言語が通じる」ってやつ。
お互いの香りが競合せず、隣り合って調和するんですね。
ジャムの甘みには粗糖ときび砂糖を使っていて、これによって還元糖由来の加熱香=メイラード反応系の香りも加わる。
フルーツの甘酸っぱさと、焦がし寸前の香ばしさが両方残る構成。
バタークリームには、ほんの少しだけココナッツリキュールを入れてます。ココナッツの香気成分って、ほとんどがγ-ノナラクトンやγ-デカラクトンといったラクトン類で、これは果実や乳製品の香りにも共通する成分なんですね。
で、ラクトン類ってその名の通り乳脂肪にすごくなじみやすいから、バターと混ぜると香りがきれいに溶け込む。
しかも冷やしても消えない。温度が上がるとまた立ち上がってくる。
つまり、
ティムールペッパーで香りに抜けをつくり、
パインで果実の濃度をつくり、
ココナッツで甘さと香りの持続性をつくる。
成分は違うジャンルだけど化学的に“会話ができる”構成になっているので、香りを層で積むのではなく、香りの流れとタイミングを揃えることで、バターの中で調和させる。
いい、これぞ夏のバターサンド。
パインとティムールペッパーのサンド3個
バターサンド(3種のローストナッツとカレンツレーズン)3個
内容:6個入
保存温度:冷凍
賞味期限:約2週間